【本記事は、『Bros Business』2010年2月号に掲載されました】
最近、日本在住の不動産関係者から、「日本の不動産を中国人に売りたいのですが、どうしたらいいでしょうか?」という内容の質問をよく受けます。
確かに、日本では、買い手不在で処理に困っている不動産があるようです。
どうやら、マーケットでは「中国人は銀聯カードで手付けを払い、投資用のワンルームやベイエリアの高級タワーマンションを買い漁っている」という噂が広まっているようです。
「何とか売れ残っている不動産を中国で販売ができないものか?」という、藁にもすがる思いがあるのでしょう。
おそらく、台湾や香港などの華僑や、すでに日本でビジネスをしている中国人の中には、日本の高級マンションを購入している人はいるとは思いますが、大陸の中国人が観光をかねて不動産を買いに来ているというのは、どうも眉唾のような気がします。
なぜなら、仕事柄、中国で中国人富裕層とお話をしていても、興味はあるものの、日本の不動産を今買いたいという人にめったにお目にかかれないからです。
それどころか、「なぜ、今日本の不動産を中国からわざわざ買いに行かなければならないのですか?何か利点がありますか?」と逆に質問されます。
彼らによると、海外の不動産に関心を寄せる条件は、おおむね以下のようです。
・現在、価格が底で、将来的に上昇する見込みがあること
(本当に今が底なのか? 世界中の不動産が調整している中で、日本だけが特に買い時だという根拠はどこにあるのだろうか?)
・ローンが組めること
(外国人がローンを組めない国は、結構珍しいのです)
・投資対象国の現地通貨が投資時点で安く、将来強くなる可能性があること
(歴史的に見て、円は高く、現在は買いに行くことができる水準ではないし、将来さらに強くなるとは思えない)
・将来的に居住できる可能性があること
(日本では、永住権や居住権が手に入る可能性がないのに、どうして買うのか? 投資利回りがものすごく高いなら考えてもいいが・・・)
確かに、以上のような条件をまったく満たしていないのが、海外から見た現在の日本の不動産なのです。
つまり、今は中国人を含め、海外の投資家にとって、日本の不動産を買いに行く理由はあまりないのです。
こういう話を聞いて、日本人駐在員である読者は、どのように感じられるでしょうか?
「そうか、今は、海外の投資家にとって日本の不動産は魅力がないのか。それでは、日本の不動産を買うのをやめて、むしろ、自分は円高を利用して、今こそ海外の不動産に投資してみよう!」と考えているあなた、そうあなたのような方は、グローバル投資家の仲間入りが可能です。
海外に駐在する方々にとってのメリットは、日本という国を世界の中で客観的に見つめる機会が多いことなのです。
島国ニッポンの中からの視点では、家の近くで売りに出された新築マンションの相場には関心をもつだけで、世界に目を向けた投資眼を養うことはできません。
残念ながら、多くの日本人駐在員は、上海や香港、シンガポールやクアラルンプール、シドニーやバンクーバーといった海外不動産市場が今年に入って回復していることについてまったく関心が向いていないのが現状です。
なぜ、リーマンショック以降、世界の不動産が下落している中で、これらの国や地域の不動産が回復しているのか? なぜ日本の不動産は回復しないのか?
少なくとも、海外に駐在するビジネスマンなら誰もが関心をもつことができるはずです。
もちろん、中国の駐在員である読者は、なぜ中国の住宅は昨年来上昇を続け、政府が警戒感を高めているのかという話題に関心は高いでしょう。
英バークレイ銀行の調査報告によると、「今後80万米ドル以上を保有する富裕層が、株式や債券などへの投資より不動産への投資のほうが長期間のリターンが大きいと考えており、不動産の保有を増加させる可能性がある」とのことです(09年12月2日付『サウスチャイナ・モーニングポスト』)。
このようなグローバルの情報をどう生かすか、これから「グローバル投資家」をめざすあなたに、海外不動産投資の魅力をお伝えしていきたいと思います。
前置きが長くなりましたが、いよいよ次号から、中国で暮らす駐在員が考えるべき海外不動産投資の魅力について講座を開始したいと思います。
※本稿は、出版前に執筆されたものであり、実際に掲載された内容と一部異なる箇所があります。