21

2月

2011

【コラム】第3回 さりげなくマレーシア不動産を買ってみた

私は、調査は、つねに実践をともなう必要があると思っています。

自ら参加して、体験することを記述することが、科学的(ここでの意味は客観性を共有できるかという意味)な調査として認識されるのかどうかは、議論がわかれるところかもしれません。

私が経験したことを、必ずしも他の人が同じように経験し、同じように感じるかどうか、わからないからです。

 

日本では、不動産投資に対して、非常に細かいプロジェクションをつくりあげ、そのうえで検討して投資判断を導き出すことが一般的です。

自分が出したお金がどのようになるのか、しっかりとした予測を立てなければ投資できないわけです。

ここでは、自分の経験を数値化する作業より、客観的に誰もが納得するであろう数値を用いることが優先されます。

国や地域の政府が発表している統計や、信頼のおける企業が発表しているデータなどを用いて、自分の投資が正しいのかどうなのか、予測を立てていきます。

科学的にどちらかというと不適当な数字が入り込むことは、プロジェクションの信頼性を損ねることになります。

 

「この数字、本当に正しいの? 正しい数字から導かれた判断なの?」

 

怪しいプロジェクションができあがることは、怪しい投資につながっていきます。

魅力的な投資対象であることはなんとなくわかっているんだけど、どうしてもあと一歩が出ない。

自分の体験の前に、数字がモノを言うような世界が日本なのです。

 

2010年9月、私はMy Habitat 2を購入しました。

 

とりたてて購入しようと意気込んで購入したわけではないのですが、ちょうど私の手持ち資金で投資できそうな額だったので、購入の申し込みをしました。

調査従事者らしく、一生懸命、統計から市場研究をして、IRRも算出して、価格の上昇見込みを計算しました、というのは嘘です。

何にもしていません。

ただ、そこに手持ち資金で投資できそうな物件があって、よい立地だったから、という単純な理由でした。

(HSBCでローンを組みましたが、弊社顧客の中で最長の34年のローンが出ました。LTVは80%です)

 

これだけだと語弊を生みますので、急いで付け加えなければならないことがあります。

私は、2005年から2006年、インドネシアのスラバヤにある大学院に留学しました。

ずっと文化人類学の研究の一環として、「現地で住み、現地のことばを覚え、現地のものを食べ、現地の人の協力を得ながら聞き取り調査をおこなう」という実践を繰り返していました。

このあと、場所を中国の上海に移し、日々の生活実践の中から人びとの動きを追ってきました。

要は、私の投資判断には、多分に自分の経験が生かされていていて、この実践感覚こそが私の投資判断で重要な位置を占めている、ということなのです。

実際の投資判断には、妻の助言がありましたが、ふたりで考えた時間は、30分ぐらいだったと思います。

 

経済が発展するということが、人びとの生活実践の中でどのような動態を示すのか、発展しないことがどのような苦悩を生み出すのか(あるいは発展することがどのような弊害を生み出すのか)、フィールドワークを通じて肌感覚を獲得していったプロセスこそが、重要なのです。

自分が購入した物件を通じて、今後、人びと(マレーシア人だけでなく、外国人も含まれる)の生活実践がどのように観察されるのかが楽しみです。

 

フィールドワーカーとしての投資は、主観から客観性を見出すもうひとつのルートです。

企業としての投資の場合、私のようなスタイルはとれないかもしれませんが、個人投資家レベルでの投資ならば、等身大の投資をおこなうには重要な判断基準を提供するスタイルだと思っています。

自分の体の中のフィジカルな痛みは、他人にはわからないかもしれませんが、自分が納得できる、もっとも直接的な要因なのです。

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