木
07
4月
2011
上海においては、結婚する前後に自分たちが居住するための住宅を購入するのが一般的です。
住宅を保有していないと結婚できないということは、たまに日本のメディアで取りあげられていますので、ご存知の方もいらっしゃると思います。
結婚の条件として「住宅を保有している」あるいは「住宅をすぐに購入することが可能な財力をもっている」ことが必須であり、結婚する中国人の双方の両親、さらには親戚に対するメンツでもあります。
最近、不動産や車を購入せずにシンプルな結婚をしようとする若い世代の中で「裸婚」ということばも流行しました。
しかし、親の世代にとっては、不動産を保有することは絶対譲れない結婚の条件であり、親が子どものお見合い相手を探すときも「不動産をお持ちですか」ということを必ず聞くといわれています。
(最近の購入戸数制限の影響から、「納税証明書はありますか?」という質問も必須といわれているそうです。一定期間納税していないと不動産を購入できないという理由からです)
中国では、不動産は、結婚の必須条件であり続けます。
私は、職場であるStasia Capital(および子会社)へのお客様からの問い合わせに対応する機会がしばしばあります。
お客様が何を考え、何を欲しているのかがわかるインターフェースであり、調査に従事する私としては、重要な機会でもあります。
年に数回、「できるだけ安い物件を購入したいのですが、どのようにすればよいのですか?」という問い合わせを目にします。
2006年7月に発表された外資規制により、外国人が海外から中国不動産に直接投資することが事実上不可能になりました。
中国で1年以上暮らしていないと外国人は中国の不動産を購入することができません。
では、中国の不動産はまだまだ価値が上がる、数年保有すればそれなりのキャピタルゲインが狙えるし、人民元の切り上げは今後も続くだろうから為替差益も狙える、という「投資マインド」から問い合わせたのでしょうか?
確かに、長年中国で暮らし、それなりの中国観をもって中国の不動産に投資しようと考える日本人駐在員の方々もいらっしゃいます。
しかし、私の経験上、このような方は少数派で、多くは、中国人との結婚が絡んでいます。
中国人と結婚しようと思うと、相手から「私は不動産がないと結婚できない。両親にも反対される」といわれます。
日本人の心は揺らぎます。
日本では、別に不動産をもっていなくても結婚できるし、海外で不動産なんて購入することなんて夢にも思わなかった日本人にとっては、相当なプレッシャーになります。
「この人と結婚したい。でも、日本でも不動産なんてもっていないのに、中国で不動産を購入なんて、いったいどうすればいいんだろう? 自分の両親に何と説明すればいいんだろう?」
中国人は、絶対に不動産で妥協することは、ほとんどといっていいほどありません。
「不動産を購入できない=結婚できない」という遺伝子的思考を前に、日本人は途方に暮れます。
そして、恐る恐る弊社に問い合わせる、という行動に出るわけです。
「安い物件なら、まだ買えるかもしれないし、人生、まだ先は長い。ここで失敗しても何とかするし、何とかなるはずだ」
以前、このような結婚が絡んだ不動産購入に関する問い合わせをいただいたとき、不動産購入にかかるコンサルティングではなく、むしろ人生相談になってしまった、ということがありました。
結婚と不動産、切り離して考える日本人と切り離して考えない中国人のギャップで苦しむ気持ちは、よくわかります。
どのように結婚と不動産の問題を解決するかという処方箋は、個々人の決定に委ねられます。
私がとやかくいうようなことではありません。
ただ、腰を据え、地に足をつけた形で中国と対峙する姿勢が求められていることは確かなことあり、これをクリアしなければこの問題は永遠に解決しないような気がします。