15

4月

2011

【コラム】第7回 不動産バブル懸念の裏側で

先日、上海郊外で開発されている住宅プロジェクトの見学に行ってきました。

筆者の勤め先のオフィス(静安寺)から地下鉄で40分ほどかかる、ごく一般的な実需層向けの住宅です。

 

筆者が訪問したときには、すでに完売していました。

販売員に聞いたところ、価格は1万8千元(約22万5千円)/平米だったそうです。

完売しているにもかかわらず、モデルルームを見学する購入希望者らしき人びとがいました。

おそらく、次期販売分を狙う人びとがひと足先に見学にきたのでしょう。

 

ほんの数年前、「こんなところに家を買ってどうする?」といわれた場所が、市内の中心部に組み込まれるようになりました。

私が見たプロジェクトは、今は「こんなところ」にありますが、数年後には立派な住宅エリアになります。

 

上海や北京、広州などの大都市では、外部からの流入人口が安定的に増加しています。

流入人口の住宅需要は、郊外で吸収せざるを得ない情況になっています。

今後、急速な高齢化が進むことから、労働人口の確保と受け皿を用意する必要に迫られています。

インフラ整備を進め、人びとの居住範囲を拡大しなければなりません。

 

2009年は緩和政策から一気に住宅価格が上昇しました。

2010年に入ったあと、上昇率は若干穏やかになりましたが、平均価格は過去最高を記録しています。

2010年12月末の上海における新築住宅の平均価格は2万4千元(約30万円)/平米でした。

私が見学したプロジェクトは、この平均価格より低いですが、それでも一般的な実需層から見ると決して安いとはいえません。

 

しかし、実需層のあいだには、「今買っておかなければ価格がどんどん上がる」という考えが根強くあります。

厚い実需層にとっては、不動産バブル懸念が広がる世界の裏側が存在します。

増加する人口が「こんなところ」を街に変貌させる力は、まだまだ衰えそうにないのが、中国の大都市郊外における現実なのです。

 

(本稿は2011年1月24日付『全国賃貸住宅新聞』に掲載されました)

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