16

5月

2011

【コラム】第11回 バロメーターとしての不動産仲介企業

2011年5月はじめ、香港の不動産仲介大手の美聯物業(香港上場)が上海から全面撤退することが明らかになりました。

 

同様に上海で展開する香港の同業他社は、市況はあまり悪いとはいえないとし、美聯物業地震の経営的な問題があったのではないかと指摘しています。

 

美聯物業の全面撤退は、経営的な問題だったのかもしれませんが、市況も多分に影響していると思います。

住宅購入戸数の制限、銀行に対するストレステストなど、市場を調整させるための施策が出されています。

 

確かに、実需向けの住宅市場は堅調に推移していて、価格も高止まりが続いていますので、「市況があまり悪いとはいえない」というのは当たっているのです。

しかし、調整局面が目に見えている市場では、モノが売れなくなるのも、また事実です。

売れなくなってしまったことも影響しないわけがありません。

取引量が落ちると、仲介手数料も減り、売上も減ります。

閉鎖して当然の流れです。

 

仲介企業が閉鎖に追い込まれたのは、今回がはじめてではありません。

最近では、上海は、2008年にも不動産市場に調整を経験しています。

世界経済の先行きが怪しくなった煽りを受けた調整でした。

このときも、閉鎖を余儀なくされた仲介企業がありました。

家の近所を歩くと、どこが潰れるか、潰れそうかを予測したものです。

実際に閉鎖した不動産企業を見ると、どれぐらいの勢いで市場が調整しているか感覚値として理解できました。

 

2009年は、市場が一気に回復に向かい、上海の郊外では、不動産仲介企業の路面店が乱立する情況が生まれました。

私が暮らすエリアには、10件以上の不動産仲介企業が並ぶ通りがあります。

現在、雨後の筍のごとく生まれた路面店が閉鎖に追い込まれる局面に差しかかっています。

 

市場の温度を見るうえで、不動産仲介企業の閉鎖情況がバロメーターとなります。

美聯物業の撤退は、ひとつのメルクマールになるような気がします。

このまま潰れていく店舗が増えれば本格的な調整、持ちこたえたら実需向け住宅市場は堅調、ということになるでしょう。

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