22

8月

2011

【コラム】第19回 中国の賃貸住宅市場の特徴

私が見聞きする中では、中国の賃貸住宅市場は成熟しておらず、規模も大きいとはいえません。

日本では、住宅を借りる行為は一般的ですが、中国では特殊と考えられています。

統計で確認することはできませんが、日本より中国のほうが持ち家比率は高いように思います。

 

賃貸住宅市場の規模が大きくならない最大の原因は、中国においては、「住宅は借りて住むものではなく、買って住むもの」という根強い考えがあることです。

「賃料を支払うぐらいなら購入したほうがまし。賃借した住宅は自分のものにはならない」と考える中国人が多いのです。

結婚を機に住宅を購入するケースも多く、家をもたないと結婚できないとまでいわれています。

親が子女名義で住宅を購入するのも当たり前の世界です。

現在のように、購入戸数制限が発表されると、親戚を総動員して住宅を購入していきます。

 

「持ち家に住む」のが当然という観念が強いので、住宅を借りる人の割合は少なくなります。

賃貸住宅市場での需要は、外国人駐在員や留学生、転勤やプロジェクト、内装工事などで一時的な住まいが必要となる中国人、出稼ぎ農民工などに限定されます。

もっとも、中国人の場合、長期で同じ場所で暮らすことになり、生活に慣れてくると住宅を購入することを考えはじめます。

 

高い経済成長率、所得の向上などを背景に、不動産価格が上昇してきたことから、不動産市場はキャピタルゲインを狙う投資市場の性格が強くなったことも原因のひとつでしょう。

インカムゲインを生み出す土壌が形成されないまま不動産価格が上昇した結果、投資利回りがどんどん低下しています。

住宅を「貸す」手間を考えると、「寝かせて」キャピタルゲインを得るほうが楽という現象すら発生しているのです。

 

賃貸住宅市場の規模が小さいため、不動産仲介企業は賃貸仲介より売買仲介に力を入れます。

高い住宅賃料予算をもつ外国人駐在員ならば、一定の仲介手数料が手に入りますが、それ以外は賃料が低いため、獲得できる仲介手数料も少なくなります。

売買だと手間はかかりますが、確実にまとまった仲介手数料を入手できます。

 

今後、賃貸住宅市場が拡大する余地は少ないと考えられます。

中国人の持ち家志向が変わることはありません。中国における賃貸住宅市場は、外国人や一部の中国人からの需要のみに支えられる、小規模な市場であり続けると思われます。

 

(本稿は2011年6月27日付『全国賃貸住宅新聞』に掲載されました)

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