木
16
2月
2012
中国の住宅市場での調整については、本コラムで何回か取りあげました。
2011年はじめに発表された住宅の購入に戸数制限を課した政策が猛威をふるい、市場は一気に調整色が強くなりました。
不動産市場がクラッシュした場合、経済を支える力が失われ、中国全体に大きな悪影響が出るのではないかという懸念が出ます。
そして、必ずといっていいほど不動産市場を超えた中国経済全体の問題点が指摘されるようになります。
典型的な議論のひとつとして、輸出と投資に頼った中国の発展モデルがあげられます。
これまで、中国の経済を牽引してきたのは、「世界の工場」としての輸出と、公共投資や不動産投資を中心とする固定資産投資です。
リーマン・ショック前後で減少した外需を支えるべく、2008年終盤に発表された4兆元の内需拡大策は、投資が経済を支える重要な要素になっていることを再認識させられるものでした。
しかし、今後も、輸出と投資が中国の経済を永劫的に牽引し続けるわけではありません。
輸出は外需に依存するため、国外経済の動向で浮き沈みが激しくなる可能性が常にあります。
また、新規の投資を続けるには莫大な費用がかかり、公共投資には、維持管理のほか、将来的な再開発も考えなければなりません。
安定した経済運営の維持をするためには、これまでの発展モデルに依存するだけでは先行きに懸念が募ります。
このようなこれまでの成長パターンから国内需要に支えられた発展モデルへの転換が急務となっています。
もっとも、産業構造は簡単に変えられるものではありません。
人びとの意識の転換も求められますので、スピードは非常に遅くなります。
また、中国は非常に広い国であり、これから公共投資が本格化する地域も数多く残っています。
短期的に、現在の発展モデルに変化が訪れるわけではなく、時間のかかる長期的視野に立った構造変化です。
中国政府にとって、不動産市場を大幅に調整させ、この悪影響を最低限に抑えこむことは困難です。
「調整弁」として、不動産市場を適度に調整させながら、発展モデルの転換を図る方向に動いています。
調整は、痛みをともなう一方、増えすぎた不動産デベロッパーの淘汰や融資制度の厳格化など、将来に向けた重要な局面にもなり得ます。
微妙な舵取りこそが中国政府に課せられた運命であり、この中で、長期的な経済運営を目指すための「調整弁」となるのが不動産市場なのです。
(本記事は、2012年1月23日付『全国賃貸住宅新聞』に掲載されました)